これは、平成６年の夏、息子と二人で作った夏休みの工作の紹介です。そして、“サイエンス山口−創造の部”で『奨励賞』をいただきました。
バンデングラフの静電気発生装置などは、理科室に転がっている物騒な実験装置ですね。家庭で静電気の実験をしようと思うと、ゴシゴシと汗をかかなければなりません。
そこで、家庭で定常的に静電気を発生させる装置をつくりました。材料もすべて家庭用品や園芸用品売り場にあるものばかりです。
なんと、こんな簡単な装置で何万ボルトという静電気が発生してしまうのです。ガソリンがポタポタと落下するだけで静電気による火花が発生し火災が起きたり、雷が生じる原因もなんとなく想像できますね。
《静電気発生の原理》
ノズルから落下する水滴が、わずかな電界のかたよりで＋か−に帯電します。そのため取り残されたタンク内の水は逆の電荷をもちます。その量はとても小さいものです。さて、落下した水は下の空き缶に落ちて、空き缶をこれまたわずか帯電させます。
そのため、反対側のノズルまわりに伸びている針金も帯電します。そのため、そちらのノズルから落下する水滴は、その電荷の逆に帯電して落下しま
す。始めは双方とも、本当に少ない電荷ですが、いったん片寄りが生じるとこれは加速度的に増加します。そして、ついには空気の絶縁を破ってショートする訳
です。
【用意する物】
タッパー
空き缶
ホース（マカロニホース） カクダイ＃5780
ミニコック
透明ビニールホース（外径５mm）
ガラス管
針金少々
ニップル（ミニ取出し） カクダイ＃0573B
発泡スチロールの板
特になくても良い物
ビニール電線
ネオン球
材木少々
【工作】
上部タンク（タッパー）の加工
タッパーの底に５mmの穴をあけます。ドリルがない場合は、皮用のポンチも使えます。木の台の上にタッパーを置いて穴をあけてください。この穴
に“ミニ取出し口”をねじ込みます。は６mm（P1.0）のネジになっていますが、タップでネジを切る必要はありません。（シリコン樹脂をつけてねじ込む
と確実です。）
（ノズルの製作）
これだけは、色々と探しましたが適当なものがないのでガラス細工でつくりました。外径５mmのガラス管をバーナーで細工をしてノズルを作りました。
針金を加工する。
針金は銅線（１８番くらい）が良いのですが、これも普通の針金で十分でした。針金を直径２.５〜３cmの丸棒に巻き付けてコイルを作ります。
オットト、端を４０〜５０cmくらい残しておいてください。はじめはしっかりと巻いて、中の棒を取出してから両端を引っ張るときれいにできます。
空き缶を加工する。
空き缶の蓋部分を缶切りで切り取り､下部タンクを作ります。釘（100mmぐらい)で側面の上から１／４の位置に穴をあけます。そして、口の部
分を“紙やすり"か“金工ヤスリ"で削って、塗装をはがします。そこに、先程つくった針金の真っすぐな方を巻き付けてしっかり固定します。ハンダ付をすれ
ば確実でしょうが、しなくても大丈夫なようです。
この針金か空き缶にビニール電線を取り付けておきます。
発泡スチロールの加工
梱包に使われていた発泡スチロールを図のように、切り取ります。発泡スチロールは撥水性があり、しかも電気を通しにくいので絶縁台に使用します。
組み立て
空き缶に、透明ビニールホースを差し込んで底まで突っ込みます。これはサイフォンになり空き缶にたまった水を排水するための物です。
タンクの“ミニ取出し口”に“マカロニホース”を差し込み、“ミニコック”、ノズルの順でつなぎます。
空き缶、ノズル、コイルを図のように配置します。このとき、左右の針金やコイルが近づきすぎると放電してしまうので、注意して配置してください｡
発電機の試運転
上部タンクに水を入れて、コイル内で水流がちぎれて水滴になるようにコックを調整します。（コイル下端で水流が切れるぐらいの方が調子が良い）【重要】
リンクについて しばらくすると、水滴がまっすぐには落ちなくなり、そのいくつかはコイルの回りの空中をフワフワと漂い始めます。
発電機の運転
空き缶から出ている銅線の先に、スズメッキ線（普通の針金でも、もちろんＯＫ）を取り付け、発泡スチロールで作った台に貫通させ、一方にネオン球を取り付け、（尖っていると低圧で放電しやすいので）一方は丸めておきます。
針金とネオン球を１〜２mm離して、コックをあけて発電させると、今度はパチッと音がして同時にネオン球が点灯します。これは暗闇ならネオン球がなくても放電が見えなくもないのですが、ネオン球だとずっと明るいので放電が確認できます。
さらに実験
スチロールのコップ（米村式ライデンビン？）に、ビニール電線をつないでみます。このライデンビン、結構容量があって最初からつなぐと発
電が起きない場合もありますから、一方だけつないで、水滴の動きを確認しながらライデンビンの端子に接触（接触させなくても放電して電荷は移動しますが）
させて、段階的に蓄電する方が良いようです。また、完全に接続せずに０.５mm〜１ｍ、スパークギャップを取って離しておくほうが良いようでした。
これは、スパークギャップを放電しても、次の発電のために必要な初期電荷が十分あるためと思われます。
さて、次は何を試そうかな？ 検電器（アルミ箔と薬の空き瓶で作れます。）にしようか？、集塵機にしようか？、それとも静電気モーター？
【材料詳細】
《タッパー》
《ホース》 マカロニホース
カクダイ＃５７８０ 6.5mm×5mm×10ｍ １本1,480円
《空き缶》 缶コーヒーの空缶が良い
《ミニ取出し》 ミニ取出し カクダイ＃０５７３Ｂ M6×1.0 １個60円
または、カクダイ＃０５７３ M6×1.0 １０個入り700円
《ミニコック》
《木材》
《発泡スチロール》
【メーカー連絡先】
株式会社 カクダイ
本社 〒550 大阪市立売堀１丁目４番４号 TEL.06-538-1121
(FAX.06-538-3367)
または、株式会社 一屋
〒740 岩国市麻里布町６丁目７番２７号 TEL.0827-22-1800
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